世界にはためになる面白い昔ばなしがたくさんあります。そこには奥深い教訓が含まれていることもあり、大人が読んでもためになります。アフリカで昔からあるお話の一つをご紹介します。
漁で家族を支える男性
主人公である男性は湖に毎日小舟を漕いで魚を取りに行っていました。原作では名前はついていませんが、わかりやすくするためノウルと言う名前で呼びます。
ノウルが使っている船は丸木で作った小さな船です。ある日魚を取り終えて陸へとゆっくりと船をこいでいると、見慣れぬ外国人の男性がこちらをじっと見ています。ノウルは笑顔で声をかけます。
「ハロー。旅行にここへ来たのかい?」
外国人の男性は手を振りながら
「出張でね。今日の漁はどうだったかな?」
「まあ、まあだよ」
「それにしても、漁を終えるにはちょっと早くないかい?もっとやってればたくさん捕れるのに」
「これくらいあれば十分だよ。これを市場に持って行けば、しばらくは食っていける。それに売れない小さな魚はうちで食べれるからね。」
外国人の男性は怪訝そうな顔をした。
「まだ日がこんなに高いのに、家に帰って何をするの?」
「何って・・子供たちと遊んだり、昼寝したりしてるとすぐ日が暮れるよ。夜は家族みんなでご飯食べて友達としゃべったり歌ったりするよ。ここの奴らはみんな歌うのがすきだからね。」
経営学者が伝授する成功の秘訣
納得いかないと言った表情で男性は続けます。
「私は大学で経営学を研究しているのだがね、はっきり言ってこんなやり方じゃ全然よくない。とにかく漁に出る時間を長くした方がいい。その分魚はたくさん捕れるから収入も増える。
そしたらこんなちっぽけな、・・失礼。
小型のボートじゃなく大きい船を買えるよ。船が大きいと、捕獲量も増える。そのうちもっと大きいトロール船に買い替える。もちろん人を雇う必要があるね。つまりあなたが社長になるってことだよ。」
男性はだんだん声も大きくなり、力強く話し続けます。

ノウルは「なるほどね。それから?」と尋ねます。
「次は仲介人を通して魚を売るんじゃなくて、工場と直接交渉する。自分で漁業会社を設立するんだ。そうなると、村から出てパリやニューヨークに行って事業を拡大する。株式市場に上場することだって夢じゃない。すごくない?」
ノウルは「そこまで行くのにどれくらいの時間がかかるんだい?」
「順調にいけば15年か20年だろうね」
「それから?」
「それからは悠々自適に余生を過ごすんだよ。村に戻ってくるんだ。生まれ故郷にね。」
「で、どうするの?」
「そしたら、子供たちと遊んだり、昼寝をしたり夜には家族みんなでご飯をたべて、友達としゃべったり歌ったりすればいい」
昔ばなしから学べる事

お話はここまでです。
経営学者のアドバイスは専門的で、村の漁師をしているノウルにとっては考えも及ばなかったことでしょう。そのアドバイスに従えば、お金持ちなれたかもしれません。いわゆる勝ち組です。
でも払う犠牲は計り知れません。
何を優先させるかを教える興味深い昔ばなしだと思いませんか?
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