「柿 大量消費」が検索ワードで上位になるほど、今年は日本全国で柿が大量に実ったようです。
「柿年」という言葉もあるそうで、柿の木を植えたタイミングは各家庭によって異なるのに、なぜ同じ時に豊作になるのか?
「同調」という現象が起きているらしいですが、自然界のルールは本当にミラクルですね。
それほど好きでもない柿がたわわに実り、消費に毎日頭を悩ませていました。
果物の王様は人によって異なりますが、私たちにとってはマンゴーが王様です。となれば、柿は下僕でした。
うちの周辺に生息している野鳥や小動物たちにとっても、柿はそれほど魅力的ではないらしい。通りがかりにちょっとつつく程度である。
ではそんな下僕柿を大量にどのように消費したらいいのでしょうか?
とにかく食べる
あたりまえのことですが、朝昼晩とおやつ替りにそのまま食べること。それだけでは一向になくならないので、アレンジして食べました。たとえば・・
柿ケーキ
柿サラダ
やきにくのたれ柿味
ハンバーグソースのたれ柿味
柿酢
かき酵母
柿炒め
味噌汁の具
中でも熟れすぎて柔らかくなった柿を使った「柿たれ」はとても美味しかったです。柿に醤油やニンニクを適当にいれただけです。砂糖やみりんでは出せない自然で奥深い甘みがメインの素材を際立たせてくれました。
柿をくだものとみなすのではなく、野菜と思えばいろいろな料理に使えることに気が付きました。この世に柿しか食べるものがない、と思って。
そのため柿があった一ヶ月くらいは、スーパーで買う野菜を大幅に減らしました。
小さく切れば人参に見えますし、加熱すれば柿の味はあまりしなくなります。
柿と水を混ぜただけでできる柿酵母はイーストの代わりに仕えます。そのまま飲んでも。
瓶にカットした柿と水を入れておくと数日で天然酵母が完成。
手作りのパンを作れます。
柿の無料配布をする
そこで思いついた名案。家の玄関に置いて、持って行ってもらうことにしました。
うちの前は行き止まりになっており、通る人は近所の人が三人くらい。あとは郵便配達か佐川急便が通り過ぎるくらいですから、持って行ってくれる人がいるのか、不安でした。
なんならSNSで「ただいま柿無料配布中」と拡散するか、国道から電柱に「無料柿こちら⇒」と張り紙でもしようかと思いました。
しかしそんな心配とは逆に、想像以上に持って行ってくれました。特に土日は減りが早かったので、週末お散歩する人がいたのかもしれません。
一円にもなりませんが、毎日無くなり具合を確認して補充するのは楽しい作業でした。
こんなことをしたのは生まれて初めてだし、見たこともない、きっとうちの前を通った人も「えっ!」てなったと思います。
どんな人が、どんな感じで持って行くのだろうと思っていましたが、持って行く場面に遭遇したのは一ヶ月の間で一度だけです。
ある時、家の前で車が止まった音がしたので、カーテンの隙間からなぜか息をひそめてそっと覗くと、何かの業者の人が、両手いっぱいに抱えて持って帰ってくれていました。
「今日ね、無料の柿があったんだよ!」って家族と話しながら食べたのでしょうか?
今回、無料配布をしたことで、なんともハートフルな気持ちになりました。
こんな風に自分が持っているものをシェアすれば、フードロスはなくなるし楽しいし、一石五鳥になるなと思いました。
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社会貢献型ショッピングサイト「junijuni」柿は栄養満点のフルーツである
昔から「柿が赤くなると、医者が青くなる」ということわざがある通り、その地味なキャラからは想像できないほどたくさんの栄養が詰まっています。
たとえば
ビタミンC、β-カロテン、カリウム、食物繊維。
生の柿、約100グラムに含まれる成分量は、
●β-カロテン 420μg
●カリウム 170mg
●食物繊維 1.6g
ビタミンCには、病気や老化、肌トラブルを予防する働きがあります。
βカロテンには、風邪予防や肌荒れ防止に効果的。
カリウムには、むくみの改善や血圧を下げる効果が期待できます。
食物繊維は腸内環境を整える効果があります。
まるでマルチビタミンのサプリです。これを知ると、毎日でも食べようという気になるものでした。
柿を食べすぎても大丈夫?
「柿は好きだけど、食べるとお腹をこわしてしまう。」と近所のおばさんが言っていました。
柿に限った話ではありませんが、柿には身体を冷やす働きがあります。夏のスイカと同じ。
そのため、胃腸に負担がかかり下痢につながるわけです。
それとは逆に便秘になるケースも。
とくに干し柿にはタンニンが多く含まれているので注意が必要。
「胃石」のリスクもある。文字通り胃に石ができる症状。重症になると入院し、炭酸を用いて石を溶かすらしい、と聞いて気休めに炭酸水を飲みながら柿を食べました。
胃石の何が怖いかというと、腸閉塞になること。
そこまでなることはそれほど多くはないが、いずれにせよ食べすぎには気を付けた方がいい。
では、どれほどの量が適正なのか?
一日に100~200グラム。柿1~2個。
もちろん個人差があるので自分で判断。
秋山さんの不思議な柿取バサミ
近所の秋山さんという80代のおじいさんが、柿を落とさないで切れるハサミがあるよと貸してくれました。普通のハサミだと下に落ちてしまいますが、なぜかハサミの先にとどまったまんまです。
おかげで高いところの柿もきれいに、無事に摘果できました。これはいい!と思ったので来年はホームセンターで買おうと思いました。
CosHall 高枝切バサミ 果物取り
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いや、しかし一年に一度しか使わないハサミを買うよりも、秋山さんの所にいって「柿ハサミ貸して~」って言えばいいだけです。
そもそも秋山さんもうちの柿を持って帰って食べたって言ってたし。
その秋山さんのハサミを使って柿を収穫して、それを秋山さんが食べて、・・・っていうサイクルでいいやん。
買わんでも。
こういうやり取り、今の時代ほんと必要です。
柿の大量消費を終えて
ほかにも友達にあげたりして、ほぼすべての柿の消費が終わりました。
柿なんかもらってうれしいだろうかと思って、最初は友人や知り合いには誰にも差し上げていませんでしたが、聞いてみると好きな人もいるものでした。
次回に備えて日ごろから、リサーチを行い柿好きメンバーリストを作っておく必要があります。
そして収穫の最初は柿の消費があれほど気が重かったというのに、だんだんと柿のおいしさにはまり「なんと美味しい果物だろう」と感じるようになりました。食べないと落ち着かなくなるほどです。少なくとも下僕ではなくなりました。