3Kと言われる介護職。
離職率も高く常に求人募集をしているイメージがあります。
ひょんなことから、いきなり介護関係の仕事をすることになりました。
全く未経験、異業種からの参入です。
それは例えるなら、板金塗装の職人がイチゴケーキ専門店で働くのと同じほどの違和感です。
では実際に働いてみてどんな様子だったのでしょうか
目次
デイサービスの一日

デイサービスと聞くと、歌をうたったりゲームをしたりして、のんびりと過ごすというイメージがありました。
ところが、この度私が働くことになった施設は、トレーニングが売りでひっきりなしに、次から次へと運動をさせられます。
さながら老人向けジムといったところです。
中には元気になって卒業する人もいるそうです。
一日の流れとしては、まずはラジオ体操からスタート。
その後、口腔機能訓練で口の運動をします。
個別機能訓練では、立つ・歩く・座るといった基本動作から日常生活シーンで行う動作を訓練。
ジムで筋トレをするようなマシーンを使って筋肉を鍛えます。
他にもストレッチや徒手と言われる筋肉を鍛える体操、ゴムひもを使った筋トレなども行います。
ゴルフボールを使って足つぼを刺激することも。
他にも歩行訓練や買い物訓練、調理訓練などがあります。

三時にお茶休憩がありますが、ほぼ2時間半運動を続けるのです。
これは若い人であってもハードです。
私の主な業務はストレッチを指導したり、利用者さんに合わせて器具を調整したりする仕事です。
ほぼ何の研修もなく、いきなり来てストレッチインストラクターをさせられるとは、よほど人手不足なのでしょう。
これまでにストレッチを勉強したことがないのはもちろん、日常ですることもない。
その上、運動不足が一目瞭然である体型の私が指導しても何の説得力がないにちがいない。
いや、それでも利用者さんはお金を払っている、私もお金をもらっている。
だからせめて、この道数十年のオーラが出せるように知ったかぶりでやるしかない。
いろんな人が来るデイサービス
利用者さん(デイサービスを利用している年配の方)は、お客さんなので丁寧に扱う必要があります。
中には、癖が強かったり、キツイ言い方をする人もいます。口が悪く、言うことを聞いてくれないケースもあるのです。
そのような時はどうすれば気持ちの切り替えが出来るのでしょうか?
ちょっとやってみてわかったことは、ちょっと立ち止まって考えてみることでした。
例えば、「なぜ○○さんは口が悪いのだろうか?」と考えます。
認知症の症状の一つは、自分の気持ちをコントロール出来なくなることです。つい少し前までは、制御できていたことが出来なくなり辛辣な言葉を発するようです。
もしくは、病気で気持ちがふさぎ込んでおり、うつ状態なのかもしれません。
このように相手の状態を洞察できると、思いやりをもって接することが出来、少々のことも我慢することが出来るようになりました。
別の方法は、先手必勝型で褒めるということです。
興味深いのは、認知症になってもプライドや感情はなくならないことです。
誰かが自分を評価してくれた、という実感は気分をよくするようですね。
デイサービスで働いてわかったこと①介護職のメリット
一つ目に求人が多い。
今は様々な企業が介護事業に進出しています。そのため、あちこちに新規で介護施設が造られています。
人手不足なので採用される確率が高いです。
2021年10月の有効求人倍率が1.15倍です。しかし、2021年9月の介護サービスの有効求人倍率は3.63倍。
いかに求人が多いかがわかります。
二つ目に正社員になれる確率が高い。
40代になると正社員になれるのはタクシーの運転手と介護職員ぐらいで、一般の企業では難しいのが現実です。50代でも社員になれた人がいます。
タクシー業界は今後縮小していくのが目に見えていますが、介護は増えていきます。この差は大きい。
ボーナスがあるかどうかで年収が100万円以上変わってきます。
三つ目に景気に左右されない。
コロナの大流行で観光業や飲食業は大きな打撃を受けました。
先が読めない世の中で、安定した仕事というのは安心感があります。将来設計も立てやすい。
他には、「やりがいがある」、「資格が活かせる」などもあります。
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デイサービスで働いてわかったこと②介護職に向いている人
一つ目に細かいことに気が付く人。観察力。
高齢の人と接しますので、体調の変化に敏感である必要があります。認知の人は何をするかわかりません。
トイレに行ってズボンをあげないで出てくる人もいれば、途中で帰ろうとする人もいます。
家が近いからと言って送迎の車を待たないで勝手に帰ってしまう人もいるのです。
そのような人たちを見守りフォローする必要があります。
二つ目に謙虚な人。
男女比で3対7で女性が多いです。未経験で働くようになると年下の女性から指示されることが多いです。
男性が自分よりも若い女の子から出される指示に従って働くには謙虚さが必要。
三つ目に思いやりがある人。
デイサービスに来ている人の中には、認知の人もいれば、体がマヒしている人もいます。
そのような人を相手に仕事をするわけですから、思いやりの気持ちがないと難しいです。
コミュニケーション力がある、辛抱強い、体力がある人なども向いていると言えます。

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デイサービスで働いてわかったこと③介護の仕事を辞める理由
辞める理由はいろいろあります。
今の職場の人に聞いたところ、意外にも車の送迎が大変で辞める方が多いとのこと。
8人乗りのワゴン車で送迎をする必要があるのですが、狭い道を運転するのは結構大変。
確かに車を見てみますとどの車も傷だらけです。
運転が得意でない人にとっては、送迎はかなりのストレスになります。人の命をあずかっていますから。
しかも、迎えに行くときは時間が決まっているので、気持ち的に余裕がない。
逆に言うと、運転が得意な人は介護に向いているのかもしれません。
未経験で介護の仕事をした感想
まだ始めたばかりですが、私が働いているような施設での仕事はそれほど難しいものではありません。
もちろん中には体力的にも精神的にもハードな施設はたくさんあるはずです。
一日で仕事が完結するのでストレスフリーです。ノルマはありませんし、残業もありません。
仕事の種類によっては、家に帰った後や休日も仕事のことをつい考えてしまいます。
でも、介護はそれほど考えなくていいので、気持ち的に楽だと言えます。
ネガティブな話を聞くことが多かった介護の仕事ですが、実際に働いてみると意外に働きやすい職場でした。
ただ、こうして多くの年配の方と接触していると、日本の高齢化社会を肌で感じます。
ほんの少し前までは普通に、なんでもできた人が老化によって、いろいろなことができなくなるというのは、本当に残念です。
利用者さんの中には昭和一桁戦前生まれの人もおられます。
さらには、激動の時代を生き抜き、高度成長期にがむしゃらに働いた団塊の世代、戦後の日本を立て直した世代など。
そうした方々を大事にしなくてはという想い。
それと同時に、そのうちすぐに自分の番が来るかもしれない。
どう老いるか。
いろんなことを考えさせられるのが介護の仕事。
介護問題についてはこちら⇒【介護問題】親が認知症になったらどうなるか?リアルな日本の現状