インド人が一体どうやってお風呂に入っているのか長い間謎だった。
朝インド人に会うと、髪の毛がびっしょりと濡れいてるので、朝入る人が多いんだろうなとは思っていた。

そして何よりホテルに泊まると、バスルームにある大きなバケツと手桶。
あれは一体何をするのだろうか?
洗濯?噂に聞いていたお尻洗い用?
不思議に思いながら怖くて聞けなかった。それがわかったのは今の家に住んでからだ。
今の家を内見した時にバスルームにはシャワーがついていなかった。
あるのは和式便器と水道の蛇口が二つ。
なるほど。やはりあのバケツはお風呂用だったのだ。
シャワーすらない家に住むとは・・・不安が押し寄せたのはいうまでもない。
で、観察したところインド人はお風呂に入る頻度は高い。
女性の場合、髪の毛は毎日は洗わないらしい。
確かに女性はほとんどが超ロングヘアなので毎日洗うのは大変でしょう。
引っ越した初日にスーパーで大きいバケツと手桶を購入。
バスルームにこれらがあるだけで急にインド人の家になった。
お湯の沸かし方
バケツに水を入れて湯沸かし棒を差し込んでお湯を沸かしている人も多い。
しかし湯沸かし棒は沸かすのに時間がかかるので、沸かしている間にお湯が冷めてしまう。
湯沸かし棒で水温が上がると共に、気温が低いためどんどん冷めていくからどうも効率が悪く感じる。
なので普通に鍋でお湯を沸かしてバケツに入れる。
グラグラと沸かすことがポイント。
バケツはプラスチックなので先に水を入れておかなければいけない。
インドでのお風呂の入り方

試行錯誤の結果、最も効率の良い方法にたどり着いた。
手桶一杯で体全体を満遍なく濡らす。
石鹸とタオルで体を洗う。
続けて泡のついた状態で髪の毛にお湯をかける。手桶二杯。
シャンプーをつけて洗髪。
シャンプーの量は決して多すぎてはいけない。汚れが落ちるギリギリの量。
ここからがポイント。泡をよく落として、蛇口の水で髪をすすぐ。頭皮に水が当たると冷たいので、毛先の泡を落とすイメージで。
湯量が限られているので、あらかじめ水で軽くすすいでおく。
最後に頭からお湯をかけて髪の毛をすすぐ。手桶4杯。
この時点で体の泡はかなり落ちているが、最後にお湯を浴びる。
まずは首下→脇→腕→背中→お尻→太もも→足全体。
これが洗い忘れや流し忘れのない、お湯を最大限に活用する方法なのである。
限られた湯量なので、水で洗っても冷たくない部分はあらかじめ洗っておくとよい。
顔や足先など。
インド式お風呂は意外に快適だった
手桶でお風呂!?
と最初は驚いたし、それはあまりにも惨めだと思った。
生活レベルを落とすのは簡単なことではない。
日本人なら誰しも、湯船にゆっくりと浸かって1日の疲れを取りたいと思うに違いない。
毎日湯船に浸かって、その上温泉にも行く。無類の風呂好きなのである。
しかし海外生活15年以上ともなると、浴槽のある生活に全く魅力を感じなくなるものである。
どんなに体を徹底的に洗っても、浴槽に浸かるとお湯の表面に何か浮いているのは
石鹸?ホコリ?
汚れが再付着するようでならない。
まして他人と浴槽を共有する公衆浴場などはもってのほかだ。
風呂に入る前よりも体が汚れるような気がする。
そういうわけで一時帰国した時でさえシャワーで済ませることがほとんどである。
シャワーで砂や埃まみれの体をきれいに洗い流せば、どんなに汚い所に行っても全てがリセットされる。
しかしそのシャワーすらないとは!
と、当初は肩を落としたものの手桶風呂生活は意外にも快適だったのである。
そのことに気がついたのは、住み始めてしばらくして用があってバンガロールのホテルに泊まった時のこと。
久しぶりのシャワーに心ときめいたのはいうまでもない。
これで今日は大量の水を浴びれるぞ。
環境に配慮せずにジャンジャン流しっぱなしで使おうと意気込んだ。
しかしシャワーヘッドからちょうどいい熱さのお湯が、ふんだんに出てくるにもかかわらず、どうもそれほど快適ではない。
お湯が自分の体に命中しない。
そう、シャワーとはそういうものなのである。
数ミリしかない穴からお湯が出てくる。
その全てが自分の体に命中するわけではなく、多くのお湯が誰もいないところに飛ぶ。
お湯は二等辺三角形のシルエットの範囲に落下するので当然、体に命中するお湯は供給量の何分の一かになる。
霧吹きでお湯を浴びているようなものだ。
なのでお湯を感じることができない。
それはクリームが少ないスイスロールのようでもある。
その点、手桶のお湯は一滴も逃すことなく体に浴びせることができる。接触面積が広いので、お湯を体感することができる。
その時初めて手桶風呂の良さを実感したのである。
考えてみれば、ほんの少し前までシャワーなどは、映画でアメリカ人が使うものだった。
ほとんどの家庭では浴槽に溜めたお湯を、洗面器ですくって体も髪も洗う。
一番風呂でない限り、誰かの全身が浸されたお湯で次の人が顔も洗っていたのだ。
手桶風呂は昭和の入浴様式よりもはるかに衛生的である。
インド式お風呂はサステナブル

一般的にシャワーを使うと一分間に10リットルのお湯が出る。
仮に10分浴びるとするなら、100リットルのお湯が必要となる。
一方でバケツの容量わずか22リットル。
歴然たる違いである。
さらにバスタブにお湯を入れるなら、200リットルものお湯が必要となる。
インド式お風呂だと使用する水量が少なくてすみ、お湯を沸かすエネルギーも少なくてすむ。
節約にもなるし、サステナブルでもある。
ちなみにうちにはシャワーがないことに加えて、トイレタンクもない。
つまり用を足した後はバケツで水を流す必要がある。
ボタンを押せば水が出てくる、日本では当たり前のシステムの普及率はかなり低い。
我が家ではこのトイレ用の流し水として洗濯後の水を使っている。
夫婦二人の洗濯後の水は、バケツ一杯なのでおよそ20リットル。
これを流し水専用バケツで流すのだが、ほぼ1日分のトイレ水に相当する。
たまに洗濯後の水がなくなって、普通に蛇口からの水でトイレに流す時があるが、ものすごくもったいない気がする。
料理にも使える水をトイレのためだけに使うなんて、なんと贅沢なことなのだろうと、気が咎める。
郷に入れば…
インド式手桶風呂も最初は抵抗があったけれど、意外に快適でよかった。
もうシャワーには戻れないような気すらする。
その土地で行われていることには、なにかしらの理由やら背景があるわけで、とりあえず一度は挑戦してみる価値はある。

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