メディを見ていると、これからはインド経済が伸びると言われているけど?
確かに14億の人口に加えて若年層が多いので、ポテンシャルが高いと言えるかもね。
じゃこれからは、インドが中国の代わりになるのかな?
そうはならないと思うし、期待しているほど経済は伸びないと思うよ。
断っておきますが、私は経済学者ではありませんので、具体的な数字を使ってインドの経済について語ることは出来ません。
しかし、インドの地方都市に住んでみて、時にはスラムに住んでいる人や農村で働いている人に会ってみて、やはりインドの経済が爆発的に伸びることはないだろうと感じました。
もちろん、ゆるかやに伸びていくとは思いますが、中国に代わるほどの国にはなれないでしょう。
住んでみたらわかるインドの5つの問題が経済の足かせになっている。
水、人、食、宗教、気候。
水が足りない!
今年は梅雨の入りが遅く、バンガロールでは深刻な水不足になり、水の供給が10日に一度のレベルになってしまいました。
バンガロールの日本国領事館から4月4日に受け取ったメールによると、コレラ感染者数が昨年に比べて40%増加。コレラ陽性者は小規模飲食店での飲食後に発症しており、水不足により、飲食店で取り扱う水質に問題があった可能性を指摘。
水不足でコレラが蔓延って日本ではありえない。
24時間水がいつでも利用できる日本にいると理解できませんが、インドにいると生活のために水を確保するのは一苦労です。
基本的にインドでは大きなタンクを屋上に設置して、そこに常に水を貯めておく必要があるのです。
さて、人々が生きていくのに必要な水が不足状態で、大きな工場を建てることが出来るでしょうか?
もちろん、水だけでなく、電気や道路などインフラ整備は必須。ちなみに停電もよくあります。
また、そこで働く人たちを支えるためにも大量の水が必要。
明らかにどこでも工場を造ることは出来ません。かなり場所が限定されてきます。
日本の熊本に半導体工場が造られましたが、なぜならそこには豊富な水があるから。半導体の製造には大量の水が必要です。
水問題を解決するのは簡単ではない。
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インド人を理解すると
「インド人はー」と、一言でくくることが難しいくらい、振り幅が激しい。
もちろん、世界的な企業のトップになれるほどの優秀な人材もたくさんいるのですが、一番ベースの労働者階級を見てみる必要があります。
フブリは地元に大きな企業があまりないので、自営業の人が多い。あとは、鉄道や公務員、学校の先生、病院などの仕事。
自営業の人は自分のペースで仕事が出来るので、お昼時は閉めていることが多い。家に帰ってご飯を食べて昼寝をする。
だから、非常にゆったりしている。走っている人はほとんどいない。
たまに日本に帰ると、何をそんなに急いでいるんだろうと思うくらい人がよく走っている。
勤勉さと時間を守るというビジネスの基本は弱い。遅れるのは当たり前、「インドタイム」と言っているがこれは変えるのが難しい。
そして、インドはいまだに専業主婦の割合が高い。そのため、女性の就業率は低い。働いていても結婚と出産を機にキャリアをあきらめるケースも多い。
インドの2021年の正規・非正規労働者に占める女性の割合は23%で、02年の27%近くから低下。隣国バングラデシュの32%、スリランカの34.5%を下回っている。
世界銀行のデータ
男女間の教育格差もある。識字率を向上させる必要がある。読み書きが出来なければ簡単な仕事しか行うことが出来ない。
2021年のインドの識字率は、全体で74.4%、うち男性82.4%、女性65.8%となっています。 識字率は女性の方が低く、また格差の項目でも述べた貧困層の多い州で識字率が低くなっています。
総務省
女性を活用することが出来なければ、経済の発展は難しい。
中国などは子供を爺ちゃん婆ちゃんに預けて、自分たちはお金を稼ぐために都市部に行くというのが当たり前でしたが、インドではそれが比較的少ない。
家族が一緒に暮らすのはいいことですが、逆に言うと家族を置いて出稼ぎに行くほどの魅力的な仕事がない。もしくは都市部に行ってもそれほど稼げない。または、現状に満足しているということになる。
世界の工場と言われた中国を支えたのが、出稼ぎ労働者ですが、インド人に同じことは出来ません。
多言語国家ゆえに一人の人が話せる言語は多いかもしれませんが、一つの言語を読み書きを含めてしっかり出来る人は意外に少ない。
確かにインド人を日本人や中国人と比較してみた時に、全体としての教育レベルや気質、性格、思考力を考えると、中国を超えるほどの成長は期待できない。
食の問題!
インドは農業大国です。そして、14億を超える人々の胃袋を満たすのは容易ではありません。
毎年のように生じる干ばつや洪水で農作物の収穫量に影響が出ます。
いまだに、牛を使って広大な畑を耕している様子を見ると、農業の効率化は程遠いように感じます。
インドの現地の人の食事を見ると、主食が極端に多く、野菜の不足が目立ちます。明らかに栄養不足。
味付けも濃く、油と塩と砂糖の過剰摂取が問題。どう考えても長く生きることが出来る食事とは言えません。
結果として、働き盛りの年齢で亡くなってしまう人が多くいるのです。
それは、非常に残念な事であり、経済的な損失にもなるのです。
インド人が食習慣を変えるのは非常に難しい。
例えば、中国人なら食べたことがなくても、出されたら食べてみます。しかし、インド人は食べたことがないものを食べようとはしません。
そのため、私の家ではインド人を家に招待する時は必ずカレーを出します。それが間違いないのです。もし、和食を用意するなら空腹のまま帰ることでしょう。
インド人はかなり保守的。
確かに健康でなければしっかり働くことは出来ません。健康を維持できる食育が必要。
宗教の問題
宗教間の問題も非常に厄介。
主にヒンズー教とイスラム教の対立ですが、解決するのはほぼ無理。
他にもシーク教や仏教、キリスト教などたくさんの宗教があるので、お互いに尊重する必要があります。
地政学リスクが常にあるのがインド。
考えてみるとわかりますが、リスクがある地域に会社や工場を造ることは難しい。
暴動やデモの被害を受けたら大きな損害。
平和で政情が安定していることが経済にとっては大事なのです。
去年、インド北東部のマニプール州で起きた民族問題を見ても、いつ問題が起きてもおかしくないのがインドの現実。
明らかに経済的なリスクがあります。
とにかく暑い!気候が厳しい
フブリは比較的気候がいい方ですが、一番暑い時期はエアコンなしで過ごすのはかなりきついです。
ダイキンによるとインドのエアコン普及率は10%以下とのこと。
日本の普及率が約90%ですから、かなり差があります。
すごく暑いと労働意欲にも影響が出てきます。正直、真夏の昼間は何もする気になれません。
雨季になったらなったで、暑さは和らぎますが、太陽が少ないので気分的にもよくありません。
周りの人を見ていても、雨季になったら体調を崩す人が多い。
しかも、空気が悪いので疲れやすくなります。北インドは世界でもトップクラスの大気汚染。
確かに、暑さや大量の雨、空気など人がコントール出来ない問題によって、労働の生産性に影響が出るのは言うまでもありません。
人が生きていくうえでハードな国がインドなのです。
インドに将来性はなし?
インドに住んでわかったことですが、経済成長のポテンシャルを生かすことが出来ずに終わってしまう可能性があるという事。
大きな理由は水と人。
では、インドに将来性は全くないのでしょうか?
もちろんそういうわけではありません。これからも人口が増えますので、それに合わせてGDPも上がることでしょう。
大きな市場があるというのは魅力です。
しかし、多くの中小企業が中国や東南アジアに進出しましたが、インドはリスクが大きすぎて難しいのが現実です。
いずれにしても、現地でリアルなインド人を見ていると、とてもいい人達なんですが、中国人や韓国人ほど親しくなれないのは、やっぱり根本的な人の部分が違うのかなと感じます。
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