「中二病」というのがあります。
子供から大人へと気持ちや感情が少しずつ変化する過渡期。
メンタルが不安定になりがちな思春期。
では無事に大人へと階段を上ったあとは、ずっと同じステージ、つまり「安定期」なのでしょうか?
さまよえる中年は、自分って何者?
という疑問への答えを探し求めます。
身体的・知的発達に伴い、「自己とは何か」に対する意識が高まる。「これこそ自分である」というものを確立し、「アイデンティティ」を獲得することが課題となる。
エリクソンの心理社会的発達段階
彼の説によると人生にはアイデンティティの危機がなんと3回も来るらしい。
もちろんこれは一つの説にすぎません。とはいえ、これにも一理あるかもしれません。
何年も前にかなり年上の友達とたわいもない話をしていたときのこと、「40歳になるあたりが、精神的にすごくつらかった」と切々と語っていたことを思い出しました。
では、人生の折り返し地点である中年をどのように乗り越えたらいいのでしょうか?
そもそも中年の危機とは何でしょうか?
中年の危機とは不安定な心理状態のこと

20代、30代は独身、既婚に関わらず、ほとんどの場合上り坂。前途有望に思えます。
人生で一番輝いている時期と言えるかもしれません。
しかし、40代になると自分の可能性の限界が見えてきます。
努力だけでは必ずしも成功しないという、辛い現実に直面します。
例えば、これ以上頑張っても出世もないし、給料も上がらないように感じる人も少なくないようです。
ある男性は会社で課長に出世して、それなりに満足していました。社会的地位を手に入れていたのです。
しかし、コロナ禍になり、在宅で仕事をすることが増えました。その中で、自分がいなくても仕事が回っていく現実を目の当たりにして、仕事に対する疑問を持ち始めたのです。
このようなモヤモヤは若い時は感じないものです。ふと立ち止まった時に考えます。
「俺の人生これでいいのか」
解決策がわからずに自分の気持ちを押し殺して仕事や生活をしている人もいるのが現実です。
他には、子供が小さい時は子供中心の生活でしたが、大きくなり何をすればいいのかわからなくなる場合もあります。
親の病気や介護という問題に直面し、自分の家庭とのバランスを取るのが難しく感じます。
それに加えて体力の衰えを感じるのも40代です。
老後2000万円問題が話題になったのは数年前の話ですが、老後を心配して不安を感じるようになります。
今までは直面することなかったネガティブな問題に直面するのが40代であり、その結果不安定な心理状態になってしまうのです。
ポジティブな気持ちで上昇を続けている時はよいですが、はじめて経験する人生の下り坂を上手に進むのは意外と難しいのです
広島大学名誉教授の岡本祐子博士
どんな夢もかないそうな若いころとは違い、だんだん残りの寿命を意識するようになります。
「将来」という概念ではなく、死から逆算して計画するようになるのです。
男性の更年期症状を理解することは大事
更年期というと女性のイメージがありますが、男性にもあります。
男性の更年期症状は、男性ホルモンの一種である「テストステロン」が減少することで生じます。
若い時は「テストステロン」が豊富なので、筋肉をつけることが容易です。歳をとってから筋トレをしても筋肉がつかない一つの理由はホルモンの減少なのです。
決断力や行動力や性欲の低下も「テストステロン」の減少と関係があります。
それ以外にも、肥満や筋肉の衰え、勃起不全、記憶力や集中力の低下なども症状としてある。
若い時と比べて意欲が出ないことがあるのはホルモンの減少が問題なのです。
自分もここ2年ほどの行動を振り返ってみますと、特にパンデミックで在宅の時間が増えたのをきっかけに、意欲の低下というのは感じましたし、集中力も落ちたように感じます。
原因を理解できるかどうかで対処方法は変わってきます。
中年の危機を乗り越えるにはどうしたらいいのか?

中年の危機をポジティブにとらえることは大事です。
中年危機に陥ったある男性は、若手を育てることに力を入れることで乗り切りました。
これまで自分が主役でしたが、黒子になろう、裏方になろうと気持ちを切り替えたことでバランスをとれるようになったそうです。
いつまでも全盛期のように、周りからいつまでもちやほやされることを期待するのも現実的ではないと気づいたのです。
最近私は父の死を経験したり、母の介護の問題があります。これまでは他人事でしたが、外で年配者を見かけると「一人暮らしなんだろうか?」などと考えるようになりました。
歳を重ねるにつれて、ネガティブな要素が増えてくるのは現実ですが、それと同時にいろんな感情を理解できるようになるのもまた面白いことであり、人生が豊かになるのではないかと思います。
まだまだ知らないこと、わからないこと、考えたいことはとてもたくさんあり、いくつになっても成長することができるはずだと思いました。
向かい風の時にジグザクに進むヨットのように、斜め方向に進みながらでも目的地を目指して前進します。
中年期という新たなステージに立ったとき、いろんな調整が必要です。
変化を受け入れて、いかに調整するかが中年の危機を乗り越える鍵になるのではないかと思います。

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